羽子板の有名ブランド・作家 名匠の作品をご紹介!
羽子板はブランド(作家)によって作風が大きく異なり、お顔や衣装にはそれぞれの特徴があります。
そのため、ブランドに着目するのも羽子板選びのひとつの方法だと思います。
そこで、本ページでは代表的な羽子板のブランドや作家さんをご紹介します。
各ブランドの特徴やこだわりなどを解説していますので、羽子板選びの参考にしてください。
匠一好 - 春日部押絵羽子板の先導者
匠一好は埼玉県春日部市にある「工房さか田」から誕生したブランドです。
※匠一好のホームページはこちら
私は東京、埼玉にある人形のまちと呼ばれる場所を訪れ、各お店で羽子板の有名ブランドについて聞いてみましたが、押絵羽子板を製造している工房が数々ある中で、現在トップブランドと称されているのが匠一好だそうです。
トップブランドと言われているだけあって、確かにいろんなお店を回ってみると、ほとんどのお店が匠一好の作品を販売しているという印象がありました。
これは実店舗だけでなく、楽天、Amazon、ヤフーなどの大手通販サイトを見ても、匠一好の商品数が相当多いことがわかると思います。
そんな匠一好の羽子板が高く評価されている理由は表現力の豊さ。
押絵羽子板はもともと数多くのパーツを組み合わせて作られているのですが、匠一好の作品は他の一般的な羽子板に比べ、より多くのパーツを使用しているそうです。
多数の細かなパーツを使い熟練の技によって生み出された匠一好の押絵羽子板は、立体的な造形を成し存在感溢れるハイクオリティな作品に仕上がっています。
また、一筆一筆丁寧に描かれた気品高いお顔、繊細な色使いと配色で仕立てたハイセンスな衣装など、匠一好の羽子板にはたくさんの見所がありますが、目に付きやすい所ばかりでなく目立たない所にも匠のこだわりが注がれています。
例えば羽子板を裏返すと、そこには華やかな紅白梅が描かれています。
しかも、この紅白梅の絵はすべて手描きなので同じ絵柄はせず、完全なる一品物です。
匠一好の羽子板の裏に描かれている紅白梅の絵柄は、ダイナミックでありながらどこか繊細。
プリント物では決して味わえない、手描きならではの独特の風合いを楽しめます。
また、羽子板の上部を一般的な直線形状ではなく円弧状にするなど、目立たない部分にまで匠一好の徹底的なこだわりが感じられます。
ちなみに、匠一好の羽子板を見ると現代的でおしゃれな作品が多いので比較的新しいブランドだと思っていましたが、創業は昭和49年です。
むさしや豊山 - 粋でお洒落な江戸の伝統的羽子板
東京都墨田区に工房を構える「むさしや豊山」は、明治元年創業の老舗ブランドです。
※むさしや豊山のホームページはこちら
伝統の技法により丹精込めて制作されたむさしや豊山の作品は、現代的な羽子板とはひと味違う風合いが最大の魅力。
むさしや豊山の粋でお洒落な羽子板は、江戸押絵羽子板の最高峰とも言われています。
むさしや豊山のこだわりは、優美な表情をたたえるお顔です。
羽子板の命とも言えるお顔(面相/めんそう)は、もちろん手描きによるもの。
羽子板一枚の制作に何本もの種類の異なる筆を使い分け、ぼかしなどの高度な技術を取り入れながら、繊細かつ上品な表情を描いていきます。
ちなみに、むさしや豊山の面相師である野口豊生氏は、東京都指定伝統工芸士、東京都優秀技能者東京マイスター、節句人形工芸士など、様々な肩書の持ち主。
父親のもとで幼い頃から羽子板の世界に携わり、長年培ってきたキャリアから羽子板のあらゆる面を熟知している方です。
また近年の羽子板の形状は、振袖の裾部分が板からはみ出した振袖タイプが一般的になっていますが、むさしや豊山の羽子板は昔ながらの袖なしタイプが主流です。
羽子板は昔から縁起が良いとされる末広がりの形をしていますので、むさしや豊山では縁起の良い形を重んじて、あくまでも板の中で羽子板の世界観を表現しているそうです。
そして、むさしや豊山の羽子板で注目すべきは色使いの美しさです。
むさしや豊山の羽子板を見ると、衣装に使われている色の数はさほど多くはありません。
しかし、色彩感覚がとても絶妙で、職人のセンスを存分に感じることができます。
むさしや豊山の羽子板は派手な色使いではなく、どちらかというと中間色を多用しているようです。
江戸時代も中間色が粋とされ、当時の人たちはわずかな色の違いを楽しんでいたようですから、むさしや豊山では配色にも伝統の粋を取り入れているように感じます。
このように昔ながらの伝統を重視するむさしや豊山ですので、羽子板はどこか古風な雰囲気が漂います。
流行に左右されず、伝統の技法と上質な素材にこだわるむさしや豊山の作品は、江戸の風情を今に伝える、正に本物の江戸押絵羽子板です。
江戸勝 - 繊細な職人技が光る羽子板ブランド
埼玉県春日部市に工房を構える江戸勝(えどかつ))は、大正三年より江戸押絵羽子板を制作しているブランドです。
※江戸勝のホームページはこちら
代々受け継がれた伝統の技術で仕上げられた江戸勝の羽子板は、とても愛らしいお顔が特徴的。
近年、羽子板のお顔は可愛らしい表情をした作品が多くなっていますが、江戸勝の羽子板はその中でも特に愛らしく、幼子のようなあどけなさを感じさせるお顔をしています。
江戸勝が手掛ける羽子板の中で、特に人気が高いのは華流水(はなりゅうすい)という名のもとで展開している作品です。
華流水は羽子板と布の間にたっぷりと綿を入れて、立体感を際立たせた衣装が目を惹きます。
また、衣装は赤やピンクなどの鮮やかな配色が多く、愛らしいお顔と相まって江戸勝の羽子板ならではの世界観を醸し出しています。
伝統の技を守りながらも現代のエッセンスを程よくと入れた江戸勝は、繊細な職人技が光る羽子板ブランドです。
摩耶人形 - 独特のセンスに溢れる逸品羽子板
摩耶人形(マヤ人形)は、 埼玉県熊谷市にて主に「羽子板」と「つまみかんざし」の制作を手掛ける人形工房です。
※摩耶人形のホームページはこちら
日本古来の技術を生かし、丹精込めて制作される摩耶人形の羽子板はとても美しく上品。
全て手描きで描かれたお顔は艶やかで、気品のある表情をしています。
摩耶人形の羽子板を一言で表すと、綺麗なお姉さんというイメージ。
伝統的な手法を用い、何度も下塗りを繰り返して仕上げるお顔は、透明感ある肌色になっているのも特徴です。
摩耶人形でしか現すことの出来ない、女性らしく優しいお顔の表情は、一目見ると忘れられないほど印象的です。
独創的な作品が多い摩耶人形の羽子板の中で、特にセンスが光る作品がこちら。
また、羽子板は一人にひとつずつという習わしですが、こちらの可愛い羽子板は双子の女の子にプレゼントしたくなる逸品です。
日本古来の伝統美を大切にしつつ、決して古さを感じさせない摩耶人形の羽子板は独特のセンスに溢れています。
伝統工芸の粋を集め、総手作りで仕立てられた摩耶人形の作品は、他のブランドと一味違った羽子板をお探しの方にお勧めです。
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