羽子板の制作技法と形状

羽子板の制作技法・形状の種類について

羽子板の画像

 

羽子板を初めて購入する方にとって、羽子板選びをはじめたばかりの頃は商品の違いがわかりづらいかもしれません。

 

お顔の表情や衣装の色など多少の違いはわかるものの、羽子板ってどれも似たように見えますよね。

 

なのに羽子板の値段は幅広く、商品によって値段はまちまち。

 

サイズは同じくらいなのに、価格は万単位で違ってくる場合もあります。

 

実は、この値段を左右するのが制作技法の違いです。

 

そこで、ここでは羽子板の制作技法の種類とその特徴をご紹介します。

 

パッと見は同じように見える羽子板ですが、制作技法の違いを知ることで羽子板の値段に大きな差がある理由がわかると思います。

 

また、羽子板の形状にも種類がありますので、そちらも併せてご紹介します。

羽子板の制作技法の種類

現在、節句人形専門店で販売されている主な羽子板は、制作技法の違いによって、プレス羽子板、木目込羽子板、押絵羽子板の3種類に分けることができます。

 

このうち、初正月のお祝いに用いられることが多いのは、作りが細かく見た目も華やかな押絵羽子板です。 

 

では、プレス羽子板や木目込羽子板は初正月のお祝い用として飾ってはいけないのかというと、そんなことはありません。

 

初正月に飾るのは押絵羽子板以外はダメという決まりはありませんから。

 

つまり、羽子板の種類にかかわらず予算に合った好みの商品を選べば良いのですが、それぞれの羽子板がどんな特徴を持っているのかを知っておくと、今後の羽子板選びできっと役立つと思います。

 

プレス羽子板

プレス羽子板は金襴などの生地を厚紙に貼り付け、その名前のとおりプレス機で熱を加えて作られたものです。

 

半立体に仕上げた装飾的なプレス羽子板は、一見すると押絵羽子板と似たように見えますが中は空洞になっています。

 

また、機械での大量生産が可能なため値段は安価です。

 

こちらがプレス羽子板です。

 

プレス羽子板

 

木目込み羽子板

木目込み羽子板は上半身の姿を型取った立体的なボディに筋彫りをほどこし、そこへ着物の生地を貼り込んで作り上げたものです。

 

生地の端をボディの筋彫りに目打ちやヘラなどで押し込み、衣装を着ているように仕立ているのが特徴で、この生地の端を筋彫りに押し込む作業を決め込む(木目込む)ということから、その名がついています。

 

ちなみに木目込みの名が付く羽子板や人形は、ボディの素材に桐材の粉を原料とした桐塑を使用するのが本式とされています。

 

しかし、最近の木目込み羽子板は、「木目込み」という名前こそ付いていますが、ほとんどがウレタン系の樹脂や発泡スチロール製で、その分値段は安くなっています。

 

こちらが木目込み羽子板です。

 

木目込み羽子板

 

押絵羽子板

立体感のある美しい絵柄が魅力の押絵羽子板は、型紙に綿をのせて羽二重の布でくるみ、更に表地で包んで絵柄を立体的に仕上げるという技法で作られたものです。

 

多数の細かいパーツを一つ一つ組み合わせて作る押絵羽子板は、プレス羽子板や木目込み羽子板とは比較にならないほどの大変な手間と時間を要します。

 

そのため、他の種類の羽子板に比べると値段はかなり高額になりますが、仕上がりの美しさの差は一目瞭然です。

 

こちらが押絵羽子板です。

 

押絵羽子板

 

ここでは初正月のお祝い用として節句人形店で販売されている3種類の羽子板を紹介しましたが、これ以外に焼絵羽子板や描絵羽子板という種類もあります。

 

ちなみに焼絵羽子板は、その名前のとおり焼きゴテを使って直接板の表面に絵の輪郭を描き、そこに色を入れたもの。

 

また、描絵羽子板は板に直接絵を描いたりプリントを施したものです。

 

現在の焼絵羽子板と描絵羽子板は、どちらも華美な装飾が無く比較的簡素な作りなので、羽根突き遊び用に向いています。

羽子板の形状の違い

制作技法の種類でご紹介したように、初正月のお祝いに飾る羽子板は、作りが細かく見た目も華やかな押絵羽子板が主流になっています。

 

そして押絵羽子板は、形状の違いにより大きく2種類に分けることができます。

 

ひとつは近年人気を高めている振袖タイプで、振袖の裾部分が板からはみ出し美しい広がりをみせる形状が特徴的です。

 

こちらが振袖タイプの押絵羽子板です。
振袖タイプの羽子板

 

もうひとつは昔ながらの袖なしタイプで、板の中にきっちりと収まった定番の形状です。

 

こちらが袖なしタイプの押絵羽子板です。

 

袖なしタイプの羽子板

 

 

袖なしタイプと振袖タイプのどちらが良いか?は人それぞれの好みですので、気に入った形状を選べばいいと思います。

 

ただし、振袖タイプの方がパーツの数や使用する生地が増える分だけ、袖なしタイプよりも値段は高めになっています。

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